2006年11月08日

「ヌジファ(抜き霊)」 沖縄の冠婚葬祭

 昨日は、今年の8月に亡くなった叔父の「ヌジファ」が行われた。
 「ヌジファ」とは、神仏や魂、遺骨などを移動するために霊を抜くこと。
 霊を抜き新しい所に移動する一連の儀式のことである。簡単に言うと、住所移転手続きのこと。

 「ヌジファ」を行う主な出来事は、病院で人が亡くなったとき(病院で行う)、墓を新築したとき(古い墓で行う)など、今まで霊があったところで行うのである。

 さて、誰が行うかというと、もちろん「ユタ」であるが、「ユタ」によっては、「ヌジファ」の方法や拝む所が違うのである。
 因みに、私の母が亡くなったときは私が行ったが、別に母からなんとも言ってこないし、母を見たという人もいない。
 ということは、誰がやってもいいのではないかとも思える。
 ひょっとしたら、私に「ユタ」の素質があるのではないかとも思ったりして?

「ヌジファ」でのお供え物

 本題に戻って、叔父の「ヌジファ」は、叔父の寝室で行われた。
 準備したのは、具志川で有名な「上間のてんぷら屋」で買った「ウチャヌク」、「白餅」と叔母たちが準備した「重箱」などである。
 そして「ユタ」は、いつもの親戚の「ユタ」である。

 いつものことではあるが、「ユタ」がいうグイス(祈りの言葉)は、何といっているか大変気になる。
 昨日も、すぐ傍のほうで聞いていたら、大体こんなことを言っていた。
 「もう49日も済んだので、迷うこともなく墓の方に移ってください。」
 その他、いろいろな事を言っていたが、「ユタ」の言葉はいつも小声である。
 おまけに方言の専門用語を使うので、50代半ばの私ですら聞き取れないし、理解もできない。

「ヌジファ」の様子

 なんせこの「ユタ」、今年90歳にもなる大ベテランなので、怖いものは何もないのである。
 おまけに口は達者で歯が丈夫、少し太り気味でダイエットのために畑仕事もこなすすご~い「ユタ」である。
 反抗でもしようものならば、方言で 「おまえが何分かるか?」 と一喝である。
 いや~ 私でも勝てない、兎に角すご~いユタなのである。(続く)



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Posted by Seijun Kina at 21:24│Comments(0)沖縄の冠婚葬祭
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